じんじんと脳が痺れて行くような感覚に襲われる…触れられている肩から段々と熱が体全体に広がって体全体がどんどん熱を帯びて行く…振りほどこうと体をくねらせるも、両手両足を拘束された今の状態では上手くはいかない… いつもならこれくらいの拘束程度なら力を込めれば外せるはずなのだが、視界が揺らぎ、力さえも上手く入れることができなかった。どうしてこうなったんだっけ…とここに来る前にクロロに言われた言葉を思い出す。








「いくら私用と言えども、お前が一人で行くのは危険だ。行くならせめて誰か一人連れて行け。生憎俺は用事で同行できないが、手が空いている奴ならお前の頼みなら断らないだろう。」








行く前にクロロから忠告されていたくせに、そんなに強い相手ではないからと油断して、結局誰も誘わないできちゃったんだっけ… それで案の定このザマだ…ちゃんとクロロに言われたこと守って、誰かと一緒に来るんだったな…なんて考えてももう遅い。下衆い笑みを浮かべて私を取り囲む男たちは、薬のせいで上手く抵抗できないことをいいことに、ドレスの胸元にナイフを押し当て、焦らすようにわざとらしくビリビリと音を立てながらドレスを破いていく。




飲まされた薬は催淫剤の類なのだろう、いつもならこんな男たちに触られることすら気持ち悪いのに、完全に思考と身体が真逆の事を望んでいる…それにしてもまさか、私がターゲットが持つ宝石を狙おうとする前に、ターゲットに私が女として狙われていたなど誰が予想できるのだろうか、もちろんそんな予想など微塵もしていなかった私は入り口でボーイに渡されたシャンパンを何の疑いもなく喉に通してしまった。




こうなってしまった以上私になすすべはなく、この下衆いに男達に犯されてしまうのも時間の問題だろう…ならばせめてと最後の抵抗だと言わんばかりに抵抗する力を緩める。嫌がる姿を見て喜んでいた男達は少しだけ眉間に皺を寄せて持っていたナイフを床に落とすと、ドレスの裂け目に手をかけ一気にビリツと音を立て、引き裂いた。まるでもっと抵抗しろと言わんばかりに、だ。








「薬がかなり効いてきたのか?」
「……」
「おい、どうして欲しいのか言ってみろ。」
「……」








身体が恐ろしい程に熱い…このまま溶けてしまうかと思うほどに… はやくこの熱を冷ませて欲しいと願う半面、こんな男達の思い通りになるのは嫌だというギリギリ理性が私の口を閉ざさせる。そんな様子の私を見て今度こそ苛立った男が私の胸を乱暴にもみしだく、その瞬間に甘く痺れるような感覚が体に走って抑えきれなかった声が口から洩れる… その反応を見るなり満足そうに今度は男が胸に舌を這わせようとした瞬間… 




軽やかにブスリ言う音が聞こえたかと思うと、男が私の腹部あたりに倒れこんできて、それを私は体をよじってなんとか避ける。








「やぁ、。」
「……イル、ミ…」








声がした方を見上げれば、男達に刺した鋲を引き抜きながら私を見下ろすイルミが立っていた








「なんで、ここに…」
こそ、なんでこんな所でそんな格好しているわけ?」








イルミの言葉に、我に返ったように自分の体を見返す。そこには無残にもビリビリになったドレスがあり、残った下着もずらされたせいで隠したい部分は何一つ隠れていない自分の姿があった。手で隠そうにも拘束されていて使えない。もともと熱い身体がイルミに見られているという事実に更に熱を帯びて行くのが分かる。イルミは相変わらず、私を見下ろしたままだ。








「イルミ…助けて、」








そういえば立ちつくしていたイルミがため息交じりに、私の拘束具を破壊し始める、その瞬間に触れた手を縋るように掴めば、イルミが怪訝そうな顔で私を見た。それに対して助けてというのはそういう意味じゃないと訴えるようにイルミを見つめ返す。








「何、もしかして何か飲まされたの?」
「たぶん…催淫剤の、類…」








今、この瞬間も、身体の中からわき上がってくる熱は留まることをしらない。それが自分の想いを寄せている人の前というのなら尚更だった。こんな私をイルミは今どう思っているのだろう…それを確かめるのが怖くて、掴んでいた手を離して俯く…








「ヒソカでも呼んであげようか」
「な…んで、」
「なんでって、はヒソカのこと好きでしょ?」








告げられた言葉はあまりにも見当違いで、思わず顔をあげる。吸い込まれそうな瞳にとらわれ、そこには有無を言わせないような強さがあった…でも違うんだと必死で首を振ってもう一度イルミの手に触れる…








「イルミ、がいい……」
「ふうん、なんで?」
「イルミが、好き…だから…おねが…」








おねがい、そういい終わるよりも先に、イルミの体重をうけて、ベッドが軋む音がする。さらりと頬にかかる髪がくすぐったくて、重なった唇がどこよりも熱かった。





















(この身体の熱がすべて冷めきるのに、今夜だけではぜんぜん足らない。)












(20131120) 希咲
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